恩湯のたしなみ

illustration ROMI WATANABE

初めてご入浴のお客様には、恩湯受付にて「恩湯のたしなみ」冊子をお配りしています

泉源の岩盤より湧出しているさまをご覧いただける温泉は国内でも数箇所しかありません。

岩の割れ目より、自然の力で沸き起こる温泉を眺めてみましょう。

耳を澄ませて。水音は、泉源が近いしるし。 湧いている音に耳を傾けてみましょう。

温泉という自然の神秘を感じれる恩湯です。

その二、 目で楽しみ、耳で楽しむ

恩湯の源泉温度は39度。そして、浴槽に注がれた温度は、体温に近い36~38度となります。

ひとを優しく包んでくれる「ぬる湯」です。

ぬる湯のままの源泉かけ流しこそ、贅沢というもの。

ゆっくりお浸かりいただくことで、温泉に含まれる成分が皮膚からじっくり体内に浸透していき、身体の芯から温まります。

※冬の期間のみ、加温を最小限に留めて行います

その一、 ぬる湯のすすめ

湧出量は1分あたり約130リットル。
湯量に合わせて、浴槽の広さは男女それぞれ8㎡。

この湯量に対して、この湯坪。

浴槽の淵からひたひたと溢れ出る湯をご覧あれ。

浴槽内は、いつも清潔な状態で、温泉の療養効果や持ち味が保たれています。

その四、 小さな湯坪が原点

泉質はアルカリ性単純温泉。
pH9.5~pH9.9のすべすべした肌触り。

湯は、無色澄明でやや青みを帯びています。

さらなる特徴は、ほんのり硫黄の香りが立ち上がるところ。

新鮮な源泉ゆえ、全身を源泉に包み込まれるような感覚と、湯の香をかぐことで得られる安らぎもお楽しみください。

その三、 本物の温泉にいい香りあり

大地から湧き出した新鮮な出湯(いでゆ)。

神意により偶然に現れて来るのが「いづ」。その自然なる「ゆ」が、禊の水のもっとも神聖なものと信じられていたとは、
民俗学者・折口信夫の言葉。

洗い場と浴槽が離れているのは、「汚れを洗い落とす場」と「清めの場」との境界づけをしているためです。

恩湯は、神仏が授けてくれた天与の恵みであり、こうした湧泉に入る行為を「神聖な行為」と捉え、デザインされています。

その六、 「神聖な入浴体験」をお楽しみあれ

恩湯には、岩盤湧出の泉源の他に、さらにもうひとつ、浴槽の底に「足元湧出泉」と呼ばれる泉源があります。

この石底の出湯(いでゆ)を活かすために、この浴槽はつくられ、結果的に深くなっているのです。

浴槽内に泉源のある究極の形式。

温泉は、地下深くは無酸素状態。つまり、温泉は、地表に噴出するとき初めて空気に触れ劣化します。

恩湯は、空気に触れることなく湧き出す鮮度の高い温泉が注ぎ込まれるという、まさに、「生まれたての温泉」が楽しめます。

その五、 深い浴槽のひみつ

長門湯本温泉「恩湯」は、応永34年(1427年)、曹洞宗・大寧寺三世の定庵禅師が長門国一宮の住吉大明神からのお告げによって発見した“神授の湯”と伝えられる山口県で最も古い歴史を持つ寺湯です。

今日も尚、恩湯の湯源は大寧寺の所領。

この温泉縁起譚の背景には、室町期の守護大名・大内家を頂点に、仏教は大寧寺、神道は住吉神社というトライアングルの関係性が垣間見えます。

岩盤と湯溜まりの間にはられた結界のしめ縄は、長門国一宮住吉神社より授けられたもの。

長門湯守は、この地の人々が温泉への畏敬、慈しみの念で育んできた「温泉信仰」を大事にしております。

その七、「大寧寺抱え」の恩湯は「神授の湯」

湯上がり処のススメ

恩湯のぬる湯に浸かり、ゆったりと身体をほぐしたあとは、入浴者限定の休憩室にて、のんびりとおくつろぎください。

女湯

男湯

混雑状況はあくまで目安です。詳細な混み具合は、恩湯受付にてご確認をお願い致します。また、現在、新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から、入場者数の制限を行っております。予めご了承下さい。