山口県 最古の温泉。長門湯本温泉 恩湯(おんとう)

600年の歴史と大寧寺

長門湯本温泉は、約600年前、大寧寺の定庵禅師が住吉大明神からのおつげによって発見した”神授の湯”と伝えられる、山口県で最も古い歴史を持つ名湯です。
江戸時代には藩主も度々、湯治に訪れていたとされる由緒ある温泉は、浴室内に住吉大明神の石像を拝し、その「恩湯(おんとう)」の呼称からも、人々の中に尊敬と感謝の心が受け継がれてきた事が伺えます。

温泉は、かつては西の高野といわれるほどの隆盛を誇った曹洞宗の名刹大寧寺に由来

室町の時代から脈々と続き、大正、昭和、平成の節目ごとに恩湯の建築も変わってきた

その「恩湯」も施設の老朽化や利用客の減少により、2017年5月に公設公営での営業を終了し、今後は民間事業者の手に委ねられることとなりました。
そこで私たちは、600年に渡り受け継がれてきた地域の文化資本である大寧寺抱えの「恩湯」を、自分たちの手で守り次世代に受け継ぐために、その再建を担う事を決意し「長門湯守(ながとゆもり)」を結成いたしました。

まちづくりと恩湯

長門湯本温泉では、現在、魅力的な温泉街を再生するために、6つの要素「風呂(外湯)」「食べ歩き」「文化体験」「そぞろ歩き(回遊性)」「絵になる場所」「休む・佇む空間」 に沿って、官民が連携してまちづくりを進めています。

私たち長門湯守のビジョンは「長門湯本のパブリック空間活用で生まれる新しい暮らしの集積から、固有の生活文化の創造へ」。
休憩スペースを併設した外湯や飲食棟、ゆっくりと佇める川床テラスの運営を通じ、生活者と観光客が共に行き交う温泉街の中心となる予定です。

おとずれリバーフェスタ2018では市内外からたくさんの人たちが訪れ、連日賑わった

2017年から二度にわたって行われた大掛かりな社会実験や様々なイベントでは、川辺や橋、道路などのパブリックスペースを活かし、沢山の方々に未来の街の姿を楽しんでもらいました。

こだわりレシピのフードやドリンクを提供するおしゃれな屋台、子供達が駆け回る飛び石や雁木広場、せせらぎでくつろげる川床や足湯。

連日おとずれた沢山の若者や家族連れの姿に、「こんなに沢山の人を見るのは何年振り!」と嬉しそうだった地元の方の笑顔が忘れられません。

長門湯守がまもるもの

里山の原風景を感じさせる深い森に囲まれ、穏やかな音信川に沿って広がる長門湯本温泉。1960年代以前には、川沿いに小宿が肩を並べ、八百屋、お肉屋、土産物屋などと共に街の賑わいを形作っていました。

旅館が内湯を備えていなかったその時代、旅人は必ず恩湯(外湯)に入り、通りには常に湯下駄の小気味よい音が“カランコロン”と響いていたと言います。温泉に恵まれた地ゆえ、お風呂を持たない家も多く、街の住民も恩湯を日常的に使っていたそうです。

昭和30年代の長門湯本温泉(写真提供:まちかど資料館)

2017年9月〜10月  河川空間の活用、夜間警官の演出、交通機能再編による空間活用を検証するためにの社会実験と、未来の温泉街をイメージして体感する試み「おとずれリバーフェスタ」を開催。

古来より長門湯本の生活の礎となってきた温泉と音信川

恩湯に近い川沿いには、長門湯本ならではの「公衆洗濯場」があり、川へ流れる温泉水を使って住民が談笑しながら洗濯に励む。そんなほのぼのとしたコミュニティも、この場所にありました。

住民も旅館で働く料理人も、夕朝食の食材を街の商店に買いに行く。街を訪れた人々と、恩湯や川沿いで自然に触れ合う。

そこには恩湯を中心とした日々の営みが存在し、高度経済成長期を経て、失われつつある「歩いて楽しむ温泉街」の姿が、確かにありました。

長門湯守は、人々が集い続けたこの場所の魅力を改めて見つめ直し、長門湯本の自然資本である温泉、音信川の環境を尊重し、生活者の暮らしの喜びに即した固有のまちづくりを目指します。

人口減少や地方の過疎化が指摘されるなか、温泉再建の道は平坦ではありませんが、様々な専門家や地域の方々の助けを経て、私たちの計画は一歩一歩前に進んでいます。

穏やかな音信川は昔も今も、かけがえの無い長門湯本の自然資本

長門湯守とは

長門湯守は、恩湯民営化の機会にあたり、その存続を自らの責務として、地元の旅館若手、飲食店、デザイナーの4人のメンバーにより設立されました。

湯本固有の生活文化を築いていくことが、人々を惹きつける魅力になると信じて、恩湯の再建だけでなく、長門湯本温泉のまちづくり計画でも中心的な役割を果たしています。

これまでの取り組み

2016年8月 長門湯本温泉観光まちづくり計画が策定され、民間、地域、行政が一体となった温泉街再生に向けた取組みがスタートしました。長門湯守のメンバーも、地域のイベントや住民説明会、社会実験など、地域の若手として積極的に役割をになっています。

2017年5月 民営化に向けて営業を停止した恩湯に最後の感謝を示し、未来へ繋ぐための地域イベント「Thanks ONTO」を開催。

2017年5月 大寧寺の岩田住職により「抜魂の儀」が執り行われ、参加者全員で建て替え工事の安全と長門湯本温泉の発展を祈願。

2017年6月 恩湯の解体に合わせて、本格的な泉源調査を実施。湧出量や泉源の正確な位置などが把握され、岩盤から湧出するお湯を直接見ることができる全国的に珍しい温泉であることが判明。

2017年8月 新しいまちづくりのリノベーション第一号として、地元の若手により、音信川沿いにcafe&pottery音がオープン。長門湯守のメンバーも複数名が運営を担っている。

2017年9月〜10月 河川空間の活用、夜間警官の演出、交通機能再編による空間活用を検証するためにの社会実験と、未来の温泉街をイメージして体感する試み「おとずれリバーフェスタ」を開催。

2017年11月 長門湯守が地元の旅館若手、飲食店、デザイナーの4人のメンバーにより設立。

2018年1月 恩湯と恩湯を愛した人々の想いを形にした写真集「Thanks ONTO」を制作。

2018年2月 恩湯等施設整備・運営事業の公募型プロポーザルを経て、長門湯守が優先交渉者に決定。

2018年3月 「長門湯本温泉景観ガイドライン」が策定され、冊子として長門湯本の全戸に配布。

2018年4月 長門湯守による「新しい恩湯についての住民説明会」を開催。

2018年4月 長門市と長門湯守にて「恩湯等施設整備・運営事業の基本協定」が締結。

2018年4月 大寧寺にて長門湯本の魅力を再発見する試み「サロンde大寧寺」を開催。

2018年5月 河川空間を活かしたまちの魅力創出の試みとして「音信川と橋の夜 vol.01」を開催。

2018年6月 昨年に続き住民の方々へ向けて「長門湯本みらいプロジェクト2018社会実験 説明会」を開催。

2018年7月 河川空間を活かしたまちの魅力創出の試みとして「音信川と橋の夜 vol.02」を開催。

2018年7月 長門湯本温泉の河川・道路区域内において公共空間を活用し、魅力的な観光まちづくりの実現を目的として「長門湯本オソト活用協議会」を設立。

2018年9月 「社会実験&おとずれリバーフェスタ2018」を開催。昨年以上にたくさんの来場者が訪れ、河川・道路空間を活かした未来の温泉街を体感。

2018年10月 温泉街を流れる音信川及び大寧寺川において、県内で初となる「都市・地域再生等利用区域が指定」。11月より河川空間の本格的な利活用を予定。