開湯六百年、山口県最古の“神授の湯”
愛され続けた泉源を地域で守るため
長門湯本のまちづくりの要として
新しい恩湯の再建を目指しています
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2019.11. REOPEN

600年の歴史と大寧寺

長門湯本温泉は、約600年前、大寧寺の定庵禅師が住吉大明神からのおつげによって発見した”神授の湯”と伝えられる、山口県で最も古い歴史を持つ名湯です。
江戸時代には藩主も度々、湯治に訪れていたとされる由緒ある温泉は、浴室内に住吉大明神の石像を拝し、その「恩湯(おんとう)」の呼称からも、人々の中に尊敬と感謝の心が受け継がれてきた事が伺えます。

温泉は、かつては西の高野といわれるほどの隆盛を誇った曹洞宗の名刹大寧寺に由来

室町の時代から脈々と続き、大正、昭和、平成の節目ごとに恩湯の建築も変わってきた

その「恩湯」も施設の老朽化や利用客の減少により、2017年5月に公設公営での営業を終了し、今後は民間事業者の手に委ねられることとなりました。
そこで私たちは、600年に渡り受け継がれてきた地域の文化資本である大寧寺抱えの「恩湯」を、自分たちの手で守り次世代に受け継ぐために、その再建を担う事を決意し「長門湯守(ながとゆもり)」を結成いたしました。

まちづくりと恩湯

長門湯本温泉では、現在、魅力的な温泉街を再生するために、6つの要素「風呂(外湯)」「食べ歩き」「文化体験」「そぞろ歩き(回遊性)」「絵になる場所」「休む・佇む空間」 に沿って、官民が連携してまちづくりを進めています。

私たち長門湯守のビジョンは「長門湯本のパブリック空間活用で生まれる新しい暮らしの集積から、固有の生活文化の創造へ」。
休憩スペースを併設した外湯や飲食棟、ゆっくりと佇める川床テラスの運営を通じ、生活者と観光客が共に行き交う温泉街の中心となる予定です。

おとずれリバーフェスタ2018では市内外からたくさんの人たちが訪れ、連日賑わった

2017年から二度にわたって行われた大掛かりな社会実験や様々なイベントでは、川辺や橋、道路などのパブリックスペースを活かし、沢山の方々に未来の街の姿を楽しんでもらいました。

こだわりレシピのフードやドリンクを提供するおしゃれな屋台、子供達が駆け回る飛び石や雁木広場、せせらぎでくつろげる川床や足湯。

連日おとずれた沢山の若者や家族連れの姿に、「こんなに沢山の人を見るのは何年振り!」と嬉しそうだった地元の方の笑顔が忘れられません。

伝統を継承する新たな恩湯

新しい恩湯(右)と飲食棟(左)は大きな窓とテラスを備えた開放的な建築で、眼前に広がる雁木広場や音信川とひとつながりの空間を形成する

寺社仏閣に使われる銅板葺きの屋根と、木材をふんだんに使った素朴な佇まいは、仏生山温泉の建築で知られる岡昇平氏によるデザイン。

頭上の丘に鎮座する住吉神社と恩湯、音信川をひとつながりとするパブリック空間は、観光客と生活者がともに楽しむ、長門湯本の新しい景色です。

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長門湯本の景色を遮らない平屋造りの恩湯施設は、周辺の自然と一体感を生み出す

1メートルの深さの特徴的な湯船と、眼前に広がる岩盤から湧出する泉源のイメージ

建物は泉源の真上に立ち、入浴時には「岩盤からの湧き出るお湯を見ることができる」全国でも珍しい温泉施設となります。深さ1メートルの湯船にゆっくりと浸かり、古代より滔々と湧き続ける「神授のお湯」を堪能してください。

また、併設の休憩スペースは開放的なガラス張りで、静かに流れる音信川のせせらぎを楽しみながら、のんびりとお風呂上がりを過ごせます。

長門湯守がまもるもの

里山の原風景を感じさせる深い森に囲まれ、穏やかな音信川に沿って広がる長門湯本温泉。1960年代以前には、川沿いに小宿が肩を並べ、八百屋、お肉屋、土産物屋などと共に街の賑わいを形作っていました。

旅館が内湯を備えていなかったその時代、旅人は必ず恩湯(外湯)に入り、通りには常に湯下駄の小気味よい音が“カランコロン”と響いていたと言います。温泉に恵まれた地ゆえ、お風呂を持たない家も多く、街の住民も恩湯を日常的に使っていたそうです。

昭和30年代の長門湯本温泉(写真提供:まちかど資料館)

2017年9月〜10月  河川空間の活用、夜間警官の演出、交通機能再編による空間活用を検証するためにの社会実験と、未来の温泉街をイメージして体感する試み「おとずれリバーフェスタ」を開催。

古来より長門湯本の生活の礎となってきた温泉と音信川

恩湯に近い川沿いには、長門湯本ならではの「公衆洗濯場」があり、川へ流れる温泉水を使って住民が談笑しながら洗濯に励む。そんなほのぼのとしたコミュニティも、この場所にありました。

住民も旅館で働く料理人も、夕朝食の食材を街の商店に買いに行く。街を訪れた人々と、恩湯や川沿いで自然に触れ合う。

そこには恩湯を中心とした日々の営みが存在し、高度経済成長期を経て、失われつつある「歩いて楽しむ温泉街」の姿が、確かにありました。

長門湯守は、人々が集い続けたこの場所の魅力を改めて見つめ直し、長門湯本の自然資本である温泉、音信川の環境を尊重し、生活者の暮らしの喜びに即した固有のまちづくりを目指します。

人口減少や地方の過疎化が指摘されるなか、温泉再建の道は平坦ではありませんが、様々な専門家や地域の方々の助けを経て、私たちの計画は一歩一歩前に進んでいます。

穏やかな音信川は昔も今も、かけがえの無い長門湯本の自然資本

長門湯守とは

長門湯守は、恩湯民営化の機会にあたり、その存続を自らの責務として、地元の旅館若手、飲食店、デザイナーの4人のメンバーにより設立されました。

湯本固有の生活文化を築いていくことが、人々を惹きつける魅力になると信じて、恩湯の再建だけでなく、長門湯本温泉のまちづくり計画でも中心的な役割を果たしています。

これまでの取り組み

長門湯本温泉観光まちづくり計画の策定に伴い、長門湯守のメンバーは、地域の方々や専門家、行政と連携して、様々な取り組みを行ってきました。今後も、2019年11月の恩湯再開に向けて、全力で取り組んでいきます。

~恩湯再建へのご寄付のお願い~

600年を折り返しとして未来に伝えるために、皆様のご支援をお願い致します。